十四.別れの日。

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 その次の日、ほたるは体調を崩して学校を休んだ。優子さんも驚くほどの高熱らしい。僕は勉強机の上から、苦しそうに寝ているほたるをずっと見守っていた。  ほたるの風邪は、しばらく続いた。心労から来たのか、寒い気候のせいなのかは分からない。  彼女の部屋には、奏をはじめとした学校の友達がお見舞いに来てくれた。仲居さんや優子さんが交代で、ほたるを看病してくれていた。忙しい板長ですら時間を作って部屋を訪れた。  予想はしていたけど、たった一人、彼女の母親だけは、部屋を訪れることはなかった。 ――そして、例のあの二人は、何度もお見舞いに来てくれていた。ようやく風邪が治りかけてきた今日も来ている。  
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