十四.別れの日。

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   この日の夜、ほたるは再び僕の前に立った。暖かそうなもこもこのパジャマに身を包んだ彼女は、その冷たい手で僕に触れた。 「……やっぱり、このネックレスをつけていないと、何かが足らない気がするんだよね」  彼女はそう言って僕を首につけてくれた。僕は嬉しかった。君に無くてはならないものになれた気がして、幸せを感じた。  彼女は自分の部屋を出た。ちょっと歩いてみたくなったのかな。お腹が空いたのかな。彼女の真意は分からない。  ほたるは一歩一歩階段を降りて、一階へと向かう。やっぱりお腹が空いたのかな。調理場に行けば、何かあるかもしれないと思ったのかな。調理場の電気はもう消えていて、誰もいなかった。  静まり返った調理は、幽霊が出るんじゃないかっていうほど不気味だ。奏なら何か見えるのかもしれない。
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