十四.別れの日。

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 どう頑張ったって、ほたるは母親に愛されることが出来ない。そうはっきりと言葉にしていた。そんなことは、僕だって分かっていた。 ほたるがいくら頑張ったって、どうにもならないってこと。きっと優子さんだって、知っていたはずだ。 もしかしたら、ほたる自身だって、気づいていたかもしれない。  でも、それでも、ほたるがここまで頑張ってこられたのは、その現実を誰も彼女に伝えていなかったからだ。誰も、言葉にして彼女に伝えていなかった。 真実を突きつけられていなかったからこそ、彼女はまだ希望があると信じて、努力し続けることが出来たんだ。 ――でも今、もう、彼女はどこにも希望はないと知ってしまった。
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