十四.別れの日。

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 ワンピースを着た後は、なぜか首に両手を回し、僕を外してネックレススタンドにかけた。 「……ありがとう。ずっと、私の傍にいてくれて」  彼女はその人差し指で、優しく僕を撫でた。そして、僕にそう告げると、静かに部屋から出て行った。  ねぇ、ほたる。どこに行くの? 僕を置いて、どこに行こうとしているの?  もう朝だけど、まだ日は昇っていない。誰もがまだ眠りの世界にいる時間だよ。  そんな恰好をしてどこに行くの? 今日もとても冷えそうだ。寒くてきっと、凍えてしまう。 ――いろいろ話したいことがあるのに、やっぱり僕は、君に何も伝えることが出来ない。
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