二.秋の始まり。

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   そんなミーハーな話をしているうちに柳様の部屋に到着した。海堂旅館は和室が十五部屋ほどある。そのすべては家族用の広さであり、一人で使うにはもてあましそうだ。 「失礼いたします。柳様、お食事をお持ちしました」 「ありがとうございます。お入りください」  部屋の中から聞こえたのは優しい男の人の声だった。  私たちはお客様に了承を得てから部屋に入る。そして、正座をしてからゆっくりと襖を開ける。もちろん全てはベテラン仲居のゆかりさん主導で、半人前以下の私はただ隣で同じようにしているだけ。 「失礼します。今から夕食の準備を始めさせていただきます」  正座をしたまま一度お辞儀をし、ゆっくりと顔を上げる。  
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