十五.本音。

7/16
前へ
/336ページ
次へ
 私は自分のことばっかり考えていた。自分の中にある罪悪感と戦うことで精一杯だった。  でも、駆はもっともっと苦しんで、自分を責めていた。もしかしたら駆も、悩んだ末に死のうとしていたかもしれない。そう考えるだけで息が苦しくなる。  私はほたるのことばかり考えていて、駆のことを見ていなかった。さっきだって、ほたるの気持ちを優先していたから、駆の想いを聞きたくなかったんだ。  こんな勝手なことはない。駆も心を持った人間なのに。どうしてそんなことに私は気が付かなかったのだろう。 「私、駆がこんなに思いつめていたなんて、知らなかった。ゴメンね……。駆がほたるのことで苦しんで、サッカーを辞めたのは分かっていた。でも、何も言えなかった。本当は駆には前だけを見て夢を追いかけて欲しかったの」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加