十五.本音。

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「失礼します。本日の前菜とお刺身をお持ちしました」 「はい、ありがとうございます」  仲居さん達はテーブルの上にてきぱきと料理を運ぶ。私は、泣き顔を見られないように出来るだけ下を向いていた。駆も同じように俯いている。  すでにこの時点で、私たちに何かあったのは一目瞭然だ。彼女たちも気づいていたと思うけど、何も聞かずにこの場から離れて行った。 「二人とも、たくさん泣いて疲れたでしょう? そういう時は、美味しい物を食べるに限ります。さあさあ、食べてください」  柳さんは、私たちに箸を渡し、早く食べろと促してくる。  本当に、柳さんは強引なところがある。そういうところが面白くて、自然と笑みがこぼれる。    悲しくて仕方がないのに、なんで笑えるんだろう。
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