十五.本音。

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 柳さんは私たちを慰めて、諌めて、背中を押してくれる。どうしてだろう、私はこの人の言葉なら素直に受け入れることが出来る。  私より年上で、いろんなことを知っているから? 私が柳さんを好意的に見ているから?  それとも……ほたるがそう言っているように聞こえるからだろうか。 「それに、彼女が命を絶とうとした理由は全てが君たちではないと思います。タイミングが悪く、いろいろなことが重なってしまった。そして、恐らく、一番の理由は、お二人も分かっていると思うけど……」 「……母親に愛されていなかったから、ですよね」  口に出して言うのも辛い。今でもやっぱり信じられない。女将がほたるにあんなに冷たくしていたなんて。  私たちに対しては、優しく接してくれていたのに。まさか、あんな人だとは思わなかった。
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