十六.手がかりを求めて。

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「おっと、もうこんな時間になってしまいましたね。もう帰ったほうがいいでしょう。今日はとても楽しかったです、僕は、あと数日はここにいるので、また遊びに来てください」  柳さんにそう促されて、私達は客室を後にした。柳さんの旅の目的について、あれ以上詳しく聞くことが出来なかった。  もしかしたら、これ以上はもう話したくないのかもしれない。 「私は若女将に一言挨拶していくけど、駆はどうする?」 「俺は……。俺も行くよ、一緒に」 「分かった」  私と駆は一緒に、旅館の事務室まで行くことにした。  もう何度も旅館の中を行き来しているはずなのに、不思議と、今までとは違う景色に見える。
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