十六.手がかりを求めて。

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――私達は若女将に挨拶をして旅館の裏口から外に出た。いつの間にか外は真っ暗で、夜空には満点の星空が輝いている。  その星は今にもこぼれそうなほどの数だ。きっと東京のような都会では見られないだろう。……柳さんはこの空に、気づいているだろうか。  満点の星空に見守られながら、私と駆は自転車を押して家路へと急ぐ。駆は何も話さない。ずっと真面目な顔をして、何か考えているようだ。  結局何も話さないまま、私の家の前に到着してしまった。 「じゃあ、気をつけて帰ってね。って、すぐそこだけどさ」  当たり障りのない言葉を投げかけると、駆がようやく口を開いた。 「……あのさ、俺達、柳さんの母親探しを手伝わないか?」 「えっ?」
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