二.秋の始まり。

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   ドキドキする。緊張する。自分でもよく分からないけど、私はこの人に何か特別なものを感じているような気がした。 ――料理の配膳と食材の説明が終わると、私たちは再び襖の近くで正座になった。 「それでは、焼き物などもお持ちいたしますのでお待ちくださいませ」 「ありがとうございます。楽しみにしていますね」 「はい。それでは失礼いたします」  静かに襖を閉めて部屋の外に出る。ようやく緊張から解放された私はため息をこぼした。 「どうしたの? ため息なんてついて」 「すいません。なんだか緊張しちゃって……」 「あっ、もしかして彼みたいな人がタイプなの?」  ゆかりさんのにやにやした顔がとっても嫌だ。後で晶子さんやほかの仲居さんにこのことを話して、みんなでからかってくるのは目に見えている。  
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