十六.手がかりを求めて。

7/35
前へ
/336ページ
次へ
「ただいまー」 「お帰り。今日は遅かったねぇ。陽太から、駆くんも一緒だって聞いていたから心配はしていなかったけどね。……あら、ちょっと目が腫れているわね、どうしたの?」 「別に、なんでもないよ。海に行ったとき、砂が目に入っただけ」 「そう、ならいいけど。もう夜も遅いし、お風呂に入っちゃいなさいね」  お母さんは、パタパタとスリッパを鳴らしてキッチンの中に入っていった。今日のこと、何も聞いてこないんだな。今朝は『デートに行くんでしょ』ってからかってきたのに。  お父さんが家にいるからなのか、何かを察しているからか分からないけど。 「お母さん、キッチンで何しているの?」  私もキッチンに行き、ハンドソープで手を洗いながらお母さんに話しかける。
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加