十六.手がかりを求めて。

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「いろいろ。片付けとか、明日の朝ご飯の準備とかね」 「そっか。大変だね。……いつもありがとう、お母さん」 「どうしたの、突然そんな事言うなんて。何かあった?」  お母さんはとても驚いたらしく、手を止めて私の顔を覗き込んだ。お礼を言ったことでここまでビックリされるとは思わなかった。……そのくらい、普段、お母さんに感謝をしていないってことか。 「何もないよ。そう思っただけ」  急に照れくさくなった私は、この場から逃げ出すようにお風呂場に向かった。  一日の汗を洗い流し、湯船につかって身体の疲れをとる。  湯気を目で追いながら、今日一日のことを思い出す。
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