十六.手がかりを求めて。

10/35
前へ
/336ページ
次へ
 次の日。昨日と同じ時間に家を出ると、すでに駆が自転車に乗って待っていた。駆はとっても眠たそうだ。 「おはよう。寝不足なの?」 「おはよ。うん、ちょっとな。いろいろ考えているうちに、目が冴えちゃって」 「……そっか。無理しないでね。じゃあ、そろそろ行こうか」 「おう」  私は、昨日疲れてすぐに寝ちゃったけど、駆はそうじゃなかったらしい。私が思っている以上に彼は繊細な心を持っているのかもしれない。 「今日はスカートじゃないんだな」 「うん。やっぱりジーパンの方が動きやすいからね」 「自転車に乗るときは、スカートはダメだろ」 「はいはい、そうですね、お父さん」
/336ページ

最初のコメントを投稿しよう!

223人が本棚に入れています
本棚に追加