十六.手がかりを求めて。

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 昨日と同じようなやりとりをしながら、旅館へと向かう。駆と冗談を言い合うことができて、内心ほっとしている。  駆が私のことをどう思っているのかって考えたら、今のように話すことが出来なくなりそうで怖い。それでもいつかは、向き合わないといけないのだろうけど、今は心の片隅に閉まっておきたいと思う。 ……これって、大事なことから逃げているだけなのかな。 ――あっという間に旅館についた私たちは、昨日と同様に裏口に自転車を停める。駆の自転車のカゴには紙袋が入っていた。 「それ、浴衣?」 「うん。浴衣とまんじゅう。昨日母さんに叱られてさ。服を旅館に置いて浴衣のまま帰ってくるなんて何事だ! って」 「あはは、それはドンマイだね」  駆と一緒に裏口から中に入ると、若女将が出迎えてくれた。
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