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昨日と同じようなやりとりをしながら、旅館へと向かう。駆と冗談を言い合うことができて、内心ほっとしている。
駆が私のことをどう思っているのかって考えたら、今のように話すことが出来なくなりそうで怖い。それでもいつかは、向き合わないといけないのだろうけど、今は心の片隅に閉まっておきたいと思う。
……これって、大事なことから逃げているだけなのかな。
――あっという間に旅館についた私たちは、昨日と同様に裏口に自転車を停める。駆の自転車のカゴには紙袋が入っていた。
「それ、浴衣?」
「うん。浴衣とまんじゅう。昨日母さんに叱られてさ。服を旅館に置いて浴衣のまま帰ってくるなんて何事だ! って」
「あはは、それはドンマイだね」
駆と一緒に裏口から中に入ると、若女将が出迎えてくれた。
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