十六.手がかりを求めて。

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 駆は再び、若女将に向かって頭を下げた。何度もお礼をしているところを見るに、よほどこっぴどく絞られたのだろう。それにしても、回収できなかったってどういう意味なのだろう。  小さな疑問を抱きながら、柳さんの部屋に向かう。やっぱりこの時間の旅館はまったりとしていて、仲居さん達とすれ違うこともなかった。 「柳さん、おはようございます。空野と宮村です」 「どうぞ、中にお入りください」  二日連続でおしかけて迷惑じゃかったかな、と少し心配していたけど、柳さんの声は相変わらず優しくてほっとした。  そして、例外なく今日も白いシャツと着ている。 「どうぞ、座ってくださいね」  私と駆は、昨日と同じ場所に座った。柳さんの隣には、何かがぎっしりと詰まった旅行鞄が置かれている。
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