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私たちはまず奏ちゃんに近づき、話しかけてみることにした。
「奏ちゃん、おはよう」
「あ、先輩たち。今日も来ていたんですか。あの東京の方は一緒じゃないんですか?」
「うん、今のところは。ところでさ、俺たち神主さんに用事があるんだけど、どこにいるか知っている?」
「用事ですか? 代わりに聞いておきますけど」
私たちは二人とも言葉が詰まった。なんて説明したらいいんだろう。適当な言葉が思いつかない。
「あ、えっと、そう。ちょっとおもちゃを借りたいと思って」
「そうそう、旅館にすっごい子供が遊びに来ていてさ。足りなくて」
駆と二人で口裏を合わせる。まぁ、実際は嘘ではない。ここにあるおもちゃを見せて欲しいと思っていたから。でも、なぜか額は汗で濡れていた。
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