十六.手がかりを求めて。

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「おい、手が止まっているぞ」 「あ、ゴメン。ちょっと考え事していた」 「ぼーっとすんな。もっとテキパキやれよ」 「ごめんなさい」 ……こういう、イラっとさせることを言うのも、昔から変わらない。  おもちゃボックスの中のおもちゃ、絨毯の上に置かれていたおもちゃを全て調べたけど、名前の書いてあるものはなかった。やっぱり、そんな簡単に手がかりが見つかるはずないか。  体勢を楽にして、少し休憩をとる。駆は休まずに、次は本棚を調べ始めた。  そんな駆の姿を見て感心していると、ふと絨毯に大きな人影が映っていることに気が付く。  入口の方に目をやると、そこには袴姿の神主さんが立っていた。とてもがたいがよく、顔が丸いのが特徴の男性だ。私は慌てて姿勢を戻して立ち上がった。
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