十六.手がかりを求めて。

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「二人とも、久しぶりだね。持っていけそうなおもちゃは見つかったかな?」 「神主さん、こんにちは! そうですね、どれも素敵なおもちゃばかりです」  奏ちゃんに嘘をついてしまったのが、ここにも影響している。このような神聖な場所で嘘をつくなんて、罰が当たりそうだ。  神主さんは私の嘘に気が付くことなく、今度は絵本を持っている駆に声をかけた。 「お、駆くんは今でも絵本が好きなのかい?」 「あはは、さすがに今はもっと文字がある方が好きっスね。でもあの〈虹色の夢〉だけは、たまに読んだりしますよ。まぁ、内容は丸暗記していますけどね」  そういえば、昨日駆は絵本の内容をすらすらと口にしていたな。丸暗記できるほど読み込んでいたのだろう。
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