十六.手がかりを求めて。

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「あれは、世界で一冊の本……。えっ、でも、あの人は確か……。…………あっ!」  駆はぶつぶつ独り言を言っていたかと思うと急に大声をだして、勢いよく立ち上がった。 「か、駆。どうしたの?」 「陽咲、俺、いったん家に帰るわ。また連絡するから」 「え、ちょ、ちょっと待って……」  駆は私の制止を聞かずに、風のような速さで部屋から飛び出していった。  部屋に残された、神主さんと私。 「――どうやら、駆くんは探し物が見つかったようだね」 「えっ……?」  神主さんの私を見る目は、全てを見透かしているようだった。この人は、私たちの嘘に最初から気づいていると、直感した。
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