十七.母親。

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「――あなたは、ほたるのことを、愛していましたか」 「どういう、意味かしら……」 「そのままの意味ですよ。あなたは、ほたるのことを愛していましたか。大切にしていましたか? ちゃんと答えてください。このネックレスは、毎日ほたると一緒にいました。だから、全部見ています。知っています。だから……嘘はやめてください。もう一度聞きます、あなたは……ほたるを愛していましたか?」  思っていたことを、全て言い切った。体の奥からつぎつぎと、言葉が湧き上がってきた。怒りにまかせて、全てをぶつけた。  私は女将から目を離さない。女将は、私と目を合わそうとしない。視線を地面に向けている。  鉛のように重い沈黙がしばらく続いた後、何かを覚悟したかのように、女将は口を開いた。
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