十七.母親。

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 女将は、とても悲しそうな瞳をしてこちらを見ていた。いったいこの後、彼女には何が起こったのだろう。どんな秘密を隠していたのだろう。  その秘密を、私なんかに教えてくれるのだろうか。 「その、秘密って……」  ドキドキしながら、そう私が彼女に言葉を投げかけたとき、背後からある人の声が聞こえた。  それはとても男性にしては少し高めの、優しい声で……とっても落ち着く声だ。 「――それは、子供が特別な力を持っていたから、ですか」  声のした方を振り向くと、そこには柳さんと、駆の姿があった。駆の手元には一冊の絵本がある。 「あなたは…………」  女将は、それ以上何も言葉が出ないようだった。柳さんの顔を見た瞬間、目にうっすらと涙が浮かんでいる。
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