十七.母親。

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 ああ、そうだ。  柳さんは、こんなにも――ほたるに似ている。 「……本当に、慶、なの?」 「はい、母さん。僕は貴方をずっと探していました」 「どうして、どうして……私が母親だと分かったの?」 「それは、駆くんが持っていた、この絵本が教えてくれました。前日、僕はほたるさんのネックレスの記憶を辿って、貴方の顔を見ていました。そして、絵本の記憶を辿ってみると……ほたるさんの母親と同じ顔が、そこにはありました。彼女は小さな僕に、優しく本を読んでくれていました」 「……そう、だから陽咲ちゃんは、あんな質問をしたのね」  駆は私の隣に来て、無言のまま絵本の裏表紙を見せた。裏表紙の右下には、幼い子供の字で 『やなぎ けい』と書かれていた。
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