十七.母親。

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「女将が、神主さんの妹……」 「ええ。その絵本は、兄が私の出産祝いに作ってくれたの。とても嬉しくて、慶に何度も読んで聞かせたわ。……それでね、話を戻すけど、私は自分のこの血筋を、あの人には隠していたの。 あの人に……っていうよりも、ほとんど誰にも話したことはなかったけど。あの人は、慶が落し物をすぐ持ち主に持っていくことに違和感をもって……気づいたの。 私もその時に全部話したわ。慶が二歳の時だった。彼は隠し事をしていた私を怒り、この血筋を嫌い、慶を連れていってしまったの」  澄ノ島神社の娘が若くして子供を身ごもり、すぐに離婚をして子供を奪われてしまった。島神さまへの信仰が深いこの島にとって、これは大変な不祥事として扱われたという。
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