十七.母親。

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 本当に、全てが遅かった。彼女が、自分の現実と向きあうこと、過去の悲しみを受け入れて前に進むべきだということ。  結果、彼女の周りには悲しみしか生まれていなかった。ほたる、優子さん、このネックレスも。皆が彼女のせいで悲しみ、辛い思いをしていた。  そして、きっと、女将自身も。ずっとずっと、悲しみの中に生きて来たんだ。  私はもう、この人に何も言えなかった。やっぱり許せないのは変わらない。でも、私なんかが何も言わなくても、女将はもう十分分かっている。  分かっていて、なんとか償いたい、ほたると向き合いたいと考えたからこそ、今こうやってほたるの傍にいるのだ。
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