十七.母親。

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「慶……そうね、私に今、出来ることは、それだけよね」 「はい。そして、僕も、精一杯支えますから。息子として、そして……兄として」  あたたかい光が、私たちを照らす。空を見上げると、今日の太陽はいつもよりも大きく見えた。  いま、この瞬間から、女将の時間は進み始めるのかもしれない。何十年も止まっていた時計の針は、がちがちに錆びついてしまっていると思う。  でも、その錆をキレイに磨いて、取り除いてくれる人がここにいる。  そして今度は、女将はその人と一緒に、前を向いて歩いていくことが出来るだろう。  まだ、すべてが解決したわけじゃない。ほたるは今も、悲しみの中で眠り続けている。  これから、ほたるが目覚めてからが、すべての始まりだと思う。
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