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「おい、泣いているのか?」
部屋の中には、なぜか駆もいた。それでようやく、私は〈宮村様〉が駆のことだと気づく。
「だって、びっくりして。……っていうか、サッカー教室に行くんじゃなかったの?」
「それはウソ。陽咲を驚かせるために、若女将たちと協力して考えたんだよ。そうっすよね、柳さん!」
「はい。驚きましたか? ドッキリ大成功です」
ブイサインをする柳さんを見て、私は全身の力が抜けるような気がした。そのまま駆の隣に座る。
柳さんはそれぞれの前に刺身などを並べた。その手際の良さは私より仲居に向いているかもしれない。
「さあ、おいしいご飯を食べましょう」
「あの、柳さん、その前に一つ聞いてもいいですか? どうして……」
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