十九.一年後。

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 彼女がそこにいるだけで、人も植物も、物さえも幸せになれる。  でも、この力には落とし穴がある。それは、彼女自身はその力で幸せになれないと言う事だ。  それについては、彼女の首元でいつも輝いているセレスタイトが一番よく知っていた。 ――ペリドットは〈太陽の石〉と呼ばれていたのですよ。  ただ色が気に入っただけで選んだその石は、太陽の力を持っていた。セレスタイトがほたるを傍で見守ってくれていたように、このペリドットは影で私を支えていてくれたのだろう。  そして今、私には二つのペリドットがある。この二つの石に力をもらって、私は、大切な人を導く大きな存在になりたい。
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