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私は少しずつ、ゆっくりと一歩一歩ほたるへと近づいていく。近づいていることを悟られないように、ゆっくりと。
「ほたる、そんな薄着で外にいたら風邪引いちゃうよ」
風が冷たい。ナイフのように頬に刺さっていく。日本海に面しているこの島は気候が厳しく、三月でもまだ冬用のコートが手放せないほどに寒い。
そんな気候の中、ほたるは白い長袖のワンピースしか身に纏っていない。
……その服装もまた、彼女の決意を物語っているように見えた。
「陽咲ちゃん。私ね、最初に見つけてくれるのは絶対に陽咲ちゃんだって思っていたよ。パパでもママでも……駆くんでもなく、ね」
彼女はさらにこう続けた。
「それはきっと、私が最後に会いたかったのが陽咲ちゃんだったからだと思うんだ」
「ほたる、どうして最後だな――」
「――今まで一緒にいてくれてありがとう」
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