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ゆえに、この構図がけっこうヤバイと気づくのに、少しばかり遅れてしまった。
「いやーん、なにするの? お兄ちゃんのエッチ。ちょっ、あ、そこはダメ。だれか助けて! だれかー!!」
いきなり悲鳴をだされ、ぼくは面食らってしまった。ひどく恐ろしい棒読みに。色気もなんもない。きっといい大根役者になれるだろう。
「いやーん、いやーん」
が、こんな目に毒な演技をいつまでも披露されても困るので注意してやる。
「もうよせ。アホみたいだから。兄として恥ずかしい」
「ええー。そこは萌え萌えして喜ぼうよ、お兄ちゃん」
「んなキモイことできるか!」
「ひっどーい。カワイイ妹を前にして」
「自分でカワイイ言うな。で? さっきのはなんだ?」
「夜のプロレスごっこ」
がくっ。アホだ。全身の力が抜けそうになる。
「それはそうと、お兄ちゃんなんの用? ノックもせず入ってくるあたり、よっぽどのことだと思うんだけど」
ふと気づいたように絵美里が聞いてきた。
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