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「あ、そうだ。おまえ、ぼくのアイスキャンデー食っただろ」
すっかり忘れていた事件を思いだす。
つい数分前のこと。冷蔵庫を開けると、楽しみにしていたアイスキャンデーが見事に消失していたのだ。父さんも母さんも仕事で出張中の現在、犯人は一人しかいない。
「あー、うん。食べたよ。だから?」
しらばくれる素振りもせず、絵美里はあっさり自白した。ちょっとは詫びろよ。こう正々堂々されると、こっちが悪いみたいじゃないか。やり場のない怒りを持てあましていると、絵美里が追い打ちをかけてきた。
「だいたい、お兄ちゃんが早く食べないから悪いんだよ」
「ちょっと待てい。ぼくの記憶が正しければ、アイスキャンデーは三つあったはずだ」
「そんなの三つとも食べちゃったよ。今日は暑いからねー」
めんどくさそうに吐き捨てると、絵美里は、もういい? と視線で訴えてきた。
許さん。妹だからと言って、見逃していよい罪などあるはずがない! ずっとつかんでいた絵美里のひざを解放し、ぼくは罰をくだす覚悟を決めた。
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