締切の無い仕事って無いらしいよ!\(^o^)/

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 1年後。俺には困り事が2つ出来た。  1つは貯金が底をついたこと。  もう1つは、棒が長すぎて部屋に収まらなくなったこと。  人というのは、一度楽を覚えると、雪崩の如く崩れるものらしい。  締切を延ばすと、当然、その仕事の報酬を受け取るのも、先延ばしになる。  また、その間に、他の作者が似たような話を書いちゃう、なんてことも。逃したチャンスの大きさよ。  買った時に1メートル位だったさおだけは、目下、優に3メートルを突破。棒の片方が、部屋の窓からはみ出ている。  暑いから閉めきって、エアコン使いたいのに。  くそ、さおだけ屋め、とんでもないものを売りつけやがって。 「たーけやーーーー さおだけーーーー」  !?  ドカッ! いてっ! 長くて運びずらいなもう!    よいしょ、よいしょ、よいしょ、このまま窓から下におろして、たてかけて、よいしょっ。  おし。 ダンダンダンダンダンッ!    ドドドドド!  ガチャッ! 「おい! さおだけ屋!」 「たーけやーー……」  キキー。 ギィッ! バタン! タッタッタッ 「あ、はい。なんでしょうか?」 「お前んとこのさおだけ! これのせいで、酷い目にあったぞ!」 「それはお気の毒に。ですが、使い方はお客様のご自由ですし、私どもには責任ありませんよ」 「ふざけんな! なんとかしろ!」 「そう言われましても…… 一応、買い戻しすることは出来ますが?」 「買い戻し? それでいいよ! 持ってけこんなデカブツ! 邪魔でしょうがない!」 「承知しました。では、お預かりしますね。うわっ、だいぶ長くなりましたね」  よいしょ、よいしょ、よいしょ、ドゥン!  「ふう。トラックに固定しました。では12万円の払い戻しになります」 「え? 10万で買ったんだけど?」 「それで良いんです。こちらは損しませんし」 「どういうこと?」 「『締切効果』というのをご存知ですか? 期限ギリギリになると、突然、力が湧く現象なんですが」 「あ、あー……。そういやあるね、そういうの」 「締切をワザと縮めて、締切効果を何度も使いたい作家の方が、意外といらっしゃいまして」 「そんなストイックな作家がいるのか?」 「試行錯誤のサイクルを早回ししたいんだそうです。まあ、40万円でお売りするんですけどね」 了
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