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この現場はリハーサルと本番のパート分けがされているところで小休憩と打ち合わせを兼ねた時間が入ります。
少しの先輩研究生が振られたモブの出番はBパート、今回はAパートとBパート、プラス予告等宣材収録順。
ショックはあったとしても気持ちと演出注文を整理する時間はあるはずなんだけど、彼女は涙を滲ませ、漏れそうな声を押えるのが精一杯のようです。
そして、そのままAパート収録が終了してしまいました。
様子を見かねた引率役のマネージャーさんが私たち2人をロビーに連れ出した。
「できそうか?」
問に彼女は悔しそうな表情で、
「ごめんなさい」
と答えた。
その声は潰れたような、擦れたような、とにかく声を出すのも辛そうでした。
設問に対して幾つかの工程を飛ばしたような回答で本来なら割愛された部分の説明を詰めたくなる人も居るかも知れないけど、そこはある意味役者とマネージャー、一言である程度解釈がなされたようで、マネージャーさんは、
「そうか」
と、少々困った様子でスタジオの重い扉の向こうへ行った。
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