夢が消えかけるその時に

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私が机に広げているのは、大学受験の赤本ではなく大学生向けの経営学入門書。 志望校には、根を詰めて勉強しなくても受かるだろう。高一のときから地道に勉強してきた貯金があるから。 今ここで行われているお笑いライブは、風間くんにとって未来に繋がるもので。 私が手元に広げている経営学の本は、私にとって未来に繋がるもので。 2つは同じように聞こえるけれども、決定的な違いがある。それは、未来と夢がイコールで結ばれているかどうか。未来というものの中に夢があるかどうか、と言い換ることもできるだろう。 ふと目を上げて時計を見遣ると、もう5時間目が始まる10分前。 トイレに行っておこう。 そう思い、机の上に本を雑多に広げたまま立ち上がる。
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