夢が消えかけるその時に

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すると、首の後ろにフワッとした綿の感触がして、同時に左肩にズシリと重みがかかる。斜め下に顔を動かすと、そこにはゴツゴツとした大きな手が置かれていた。 誰かに肩を組まれているんだ、と状況を把握する。 次に右を向くと、さっきと変わりない澄んだ目が、真っ直ぐ私を見ている。 その目がキュッと細くなって、笑い皺に意識が引き込まれる。 「よし、行こうか!」 「え?」 私の肩を抱く腕に引っ張られて、抗うこともできずに私の足は風間くんと同じ歩調を刻む。 「ちょっ、翔汰どこ行くんだよ。」 風間くんは顔だけ後ろに向けて、わざとらしく色っぽい声を発した。 「ツレション、ウィズ坂井田さん。」 「いや、お前男だからな!?女子トイレ入ったら犯罪だからな!?」 「じゃあ訂正。ナンパってことで。」
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