夢が消えかけるその時に

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私、何をしているんだろう。 全く話したことのないクラスメイトに、肩を組まれてどこかへ連行されている。非現実のように思えるけど、確かに現実だ。 いつもとは違う弾んだ歩調が、風間くんから私に伝わる。鳴れないリズムに足を取られそうになって、知らないうちに風間くんのカーディガンの背中をきゅっと掴んでいた。 風間くんに連れられて入ったのは、社会科教室。中には誰もおらず、5時間目に使われる気配はない。 教室の奥にあるストーブの前で、やっと解放された。 風間くんは勝手にストーブの電源をつけると、回れ右をして私と向かい合った。 「…ごめん。アイツら、本当は悪い奴じゃないんだ。ただ受験の時期が近づいて、あれでもちょっとピリピリしてるんだと思う。」 申し訳ない、という空気がひしひしと伝わってくる。 謝らなきゃいけないのは私の方なのに。
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