夢が消えかけるその時に

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「だって、それは私が失礼なことを言ったから…」 「失礼なこと?俺らのことをバカにしたつもりじゃないんだろ?」 その一言だけで分かった。風間くんは、さっきの男子とは違う。 非難されることはないという安心と、心の奥底を見透かされるかもという恐怖が入り混じる。 「どうして分かって…」 「さっきの坂井田さん、なんか切なそうな顔してたから。さすがに、何でそんな顔をしているのかまでは分かんないけど。」 そこで風間くんは一呼吸入れた。 ストーブの熱気を吐き出す音だけが教室に響く。 「良かったら、坂井田さんがどういう意図だったのか教えて。」 風間くんが「教えろ」って命令してくるような強引な人だったら、私は反抗できただろうに。頑として口を閉ざしただろうに。 「良かったら教えて」なんて控えめに聞かれてしまったら、かえって話したくなってしまうじゃない。
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