俺の息の根を止めるもの

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「……ハアッ、ハァッ、ハァ」  気がつくと、俺は天井を見上げていた。  クマの足跡のようなシミのある見慣れた天井板。毎日使っている、枕と布団の感触。 「夢かよ……」  荒い息を整えながら笑おうとした俺だったが、あることに気がついて背筋が凍った。  モサモサなヤツがそこにいる!!  しかも俺の首に……!!  ただ、夢の中でのように、大の男を押しつぶすような大きさではなく、暑くはあるが息苦しさは少しだけ。ずっと小さくて軽い。  ちょっと冷静になってきた俺は、腕をクレーンのように動かし、得体の知れないモサモサをつかみ上げた。 「ミャア」  モサモサが声を発した。  俺は寝ぼけまなこを凝らして、まじまじとそれを見る。  白地に黒のぶち模様の毛皮。小さな頭の上には三角の耳。顔の左右に伸びる細いヒゲ。眠たげな目が俺を見つめる。 「犯人はおまえか、チョビ助」 「ミャ」  モサモサの正体は、最近、俺が拾ってきた、手のひらサイズの子猫。  鼻に黒いぶちがあるから“チョビ助“。我ながらネーミングセンスはない。 「首の上に腹ばいで寝るかよ。もうすぐ夏だぞ?」
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