エピローグ

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友也の車を降りて、駅まで行くには少し歩かないといけない。 ここは道路を挟んで向かい側になるから、歩道橋を渡る必要があるのだ。 長崎駅前の道路は片側四車線で、中央には電車が走る電気軌道もある。 交通量が市内でもトップクラスと言える場所だ。 歩道橋の階段を上りアミュプラザの方に向かう。 高架広場からアミュプラザの二階に直結で入れるようになっているけど、今日の目的はアミュプラザではない。 脇目を振らず、長崎駅の改札口を目指さなければ。 階段を降りて、かもめ広場へと向かおうとしていた私の前に、現れたのは……。 さっき勝手に心の中で別れを告げた人。 もう会えないと覚悟を決めたつもりだったのに、直ぐにでも会いたくて堪らなかった人。 どうして? どうしてここにいるの? 自分の都合で置き去りにしてきたくせに、心のどこかでこうなる事を願っていたんだ……私。 やっぱり雨が彼を連れて来てくれたんじゃないかと思ってしまった。 「友也…………」
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