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「うーん、どうかな。一週間くらいじゃなかかな?課長の都合で延ばされるかもしれんけん、ハッキリとは分からんけど」
ごめん友也。
一週間で帰れるわけがない。
でも今は本当のことは言えない。
「明日美が帰ってくるとば待っとるけん。そん時は俺のために時間作ってくれるか?」
友也、何を考えているの……。
私のことを待ってるだなんて、そんなこと言っていいの?
返事に困るけど、ここでは受け流しておいた方がいいのかな。
「なんか分からんけど、OK」
友也が変に思わないように、にっこりと微笑んで見せた。
かもめ広場の巨大スクリーンには映画の予告編が映し出されている。
友也と一緒に映画を観に行った思い出が蘇ってきた。
高三のクリスマスデートの時。
私が観たかった恋愛映画を一緒に観てくれた。
あの時の映画のサブタイトルは~君に降り積む雪になる~だったよね。
あの主人公の女性のように深い愛情を注げるのかなって思ったけど……。
私たちには雪よりも雨がお似合いだから、私は友也の心に優しく降る雨になりたい。
友也の心を雨となって潤すことができたらいい。
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