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だいたいひとりで寺を訪れている男性は、立派な一眼レフをぶら下げている印象だ。それなら智徳みたいなひとがひとりでいても違和感がなさそうだ。だが、実際は想像とちがった。
「ああ……スマホでちょっと撮るくらいですね……びっくりするくらい、写真のセンスがないんですよ」
なんだか目に浮かぶようで、思わず吹き出してしまった。とにかくそんな話をしていたから、自然と神社仏閣を詣でながら、散策することになったのだ。
当日はお昼少し前にターミナル駅で待ち合わせをして新幹線に乗った。
「本当に車でなくてよかったんですか?」
「たまには新幹線もいいもんだし。それにグリーン車だから快適だもん。全然かまわないですよ」
智徳がビールを差し出してきた。こんな昼間から電車に揺られて飲むなんてと思ったが、にこにこして差し出されると無下にもできなかった。きっとどこかのインタビューでビール好きだと話したのを覚えているのだろう。
「ありがとう……智徳さんは?」
「僕は大丈夫です。あ、お弁当もありますからね」
「知ってるって、さっき一緒に選んだじゃん」
「ははっ、そうですよね」
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