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耳と胴が異様に長いウサギのようなそうでないような謎の生物。嵐史はこのゆるキャラが昔から大好きだった。弾力のないくたっとした脱力系だが、そのかわりとてもやわらかくて肌触りがいい。小さい頃、これの胴に顔を埋めて眠るのが好きだったことを思い出した。
「ご迷惑……ですよね。すみません。持って帰ります」
申し訳なさそうな智徳がペコミンを受け取ろうと手を伸ばしてくる。幼いころの思い出がぶり返して、ぼんやりしていたから気を悪くしたと思われたらしい。
「迷惑だなんて……逆ですよ。すぐ下に弟がいて、親に甘えられないときによくペコミンと一緒に眠ってたりしてたの、思い出しただけです」
「……そうですか」
「ああ、このくたくた……久しぶりに触りました。癒されるんですよね。ありがとうございます」
よかった、気に入ってくださって。と小さな声が聞こえ、それではと智徳が去って行ったときの後姿を思い出す。
「アラシくん?」
男がぼんやりした嵐史に声をかけた。
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