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「あ、すみません。じゃ、シャワー行きましょうか」 「うん……」 「あ、ごめ…………こうじゃないよね。ホラ! さっさと浴室行けよっ! グズ」 「はい……すみません……怒らないで」  男が顔を赤らめ、眉尻を下げた。途端にモードへ入ったのがわかる。 「お仕置き……するの?」 「ああ……たっぷりとしてやるから。覚悟しておけよ」 「ああん……こわあい」  乱暴に衣服をはぎ取ると、声と体を震わせた男はすでに半勃の状態で、それを隠すように内股でもぞもぞしている。 「ったく、粗末なもの見せやがって。ホラ、早くケツ突き出せ。汚ねえとこにはブチ込めねえからな」 「はああん…………アラシくん、もっと。もっと罵って!」  男が喜ぶ罵倒の言葉を次々にぶつける。お客様のニーズに合わせてキャラを変えるのもわりと得意だ。  午後過ぎになると、指定された撮影場所がある某駅で下車する。普通の商店街の中にある雑居ビルは一歩入ると別世界だ。 「おはようございまーす! よろしくお願いします」 「アラシくん、今日はよろしくね」  ここに生息して、外に出たことがないのじゃないかと思うくらい、生っ白くて不健康そうな監督に挨拶をして、さっそく服を脱いだ。シャワーを浴びて指定された制服に着替える。  オンリー作品は二本目、ここが正念場だと周りにも言われるし、自分でもわかっている。今回の内容はタチ役で高校生の純愛ものと、着エロのイメージビデオのようなもの、ネコ役でゴーグルマンとの絡みだ。これをすべて一度に撮ってしまう。
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