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「最初に高校生もの、やっちゃうからね」 「制服、ヤバくないですか?」 「大丈夫、大丈夫。今二十一だっけ? 全然違和感ないよ。まだまだ余裕」 「ならいいんですけど……じゃあよろしくお願いします。ヨリくん、よろしくね」 「アラシくん、ひさしぶりー。今日はよろしくね」  相手役は今までも絡んだことがある同世代の可愛らしいタイプの男で、すでに制服を着て待っていた。部室に見立てた部屋での告白シーンから始まる。 「アラシくん、芝居のシーンはたまに棒読みになっちゃうから気をつけて」 「はい」 「簡単だよ。好きな子に告白した時のこと、思い出してやってね」  好きな子に告白など、したことがなかった。興味はあったので初体験も中学生の頃に済ませ、男とのセックスも高校生の時に体験したが、誰かを好きになる。ドキドキする、などという経験が皆無だ。  だいたい、誰も嵐史にそんなもの、求めていないと思う。要は本番のシーンがエロいかどうかがすべてだ。こんなオマケのシーンなど早く飛ばしてしまおうと、相手の頭を引き寄せてキスをしようとすると、監督に止められる。 「ダメ、アラシくん。全然気持ちが入ってない」 「すみません……」 「ちゃんと思い出して。ほら……不意打ちでドキドキしたり、きゅんとしたこと」  監督の言葉で思い浮かんだのは、なぜかペコミンをくれた時の智徳だった。 「おっ、いいねその赤面。リアルだよー」 「な……ありえないんだけど」
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