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 周りに聞こえないくらいの声で毒づくが、ノッてきた監督にそのまま流されてしまい、結局そのシーンはそのままOKが出た。 「やればできるじゃん。アラシくん、その調子で頼むよ」  その後のベッドの絡みからは特に問題もなく順調に撮影が進んだ。途中、短い休憩をはさんだり、食事をしながら最後のゴーグルマンとの絡みが終わるとすでに真夜中だった。 「お疲れ様でしたー」  もう終電もないが、幸いここは嵐史の住んでいる街からそれほど遠くない。駅前に戻ってタクシーを拾うと、行き先を告げてシートに深々と腰かけた。  ものすごく疲れたが、帰り際に監督が今までで一番の出来になるよ。と言ってくれたのだけが救いだった。うちに帰ったらペコミンを抱いてぐっすり眠ろうと決め、家路まで軽く目を閉じた。
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