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 そういって智徳が羅列したのは、店のブログや公式ツイッ○ーはもちろん、個人的にボーイのAとして呟いている裏アカまで知っていた。  不定期連載をしている雑誌や、ビデオリリースに伴うインタビュー動画などは、嵐史が把握していないものまである。 「智徳さん、すごいね。ちょっとしたストーカーも真っ青だよ」 「すみません、キモいですよね」 「ははっ! 確かにキモいね。まあでもすごいよほんと」  むしろここまで調べ上げたのに、予約さえすれば会える本人に今まで会いに来なかったのだろう。お金さえ払えばセックスだってできるのに。 「アラシさんのことを、知ったのは最近なんです。特に問題意識も持たずにぼーっと生きていたら、三十歳の誕生日を迎えてしまい、これではいけないと意を決してゲイビデオというものを観ました」  なんでそこでゲイビなんだろう。という疑問はさておき、智徳の表情は高揚している。欲情を孕んだ視線で見られるのとはまた違うくすぐったさがある。 「そしてあなたに出会った。ビデオの中のあなたはとても美しくて、いやらしくて……一目で心を奪われました。これは運命だと思いました」  あれ、これはかなりやばい展開になっていないか? 真面目そうで大人しい男だという印象だったけれど、こういうタイプの方が思いつめたら怖いんだよな。 「そ、そうなんだ。ありがとう。で、念のため聞いておくけど、いろいろ知っているからって脅してる、とかじゃないよね?」  探り探りそう伝えると智徳は目を瞬かせた。きょとんとした表情はこの男の顔に似つかわしくなくて少し意外で面白い。 「そんなっ……脅すつもりなんて、ありません……」
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