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 ぺこぺこと、何度も頭を下げて智徳が帰ってゆくと、店長や同僚のボーイが出てくる。 「ほんと、変わってるねあの人。まあ何年かに一度はああいう人が来るけど、その中でもてっぺんだわ」  頻繁に来店するくせに、時間が来てお見送りをしても、シャワーを浴びずに戻ってくる嵐史を見ているから、この店で智徳は相当変わった客として、認識されてしまったようだ。 「笑っちゃうくらい地味な人ですよね。すっごい真面目なんだろうなあ」 「そうだね……」  真面目だが結構面白いところもあるのだけれど、それを言ってもわかってもらえないと思うので特に反論はせず、笑ってやり過ごす。 「あ、店長。今度あの人から貸切にしたいって言われたら、受けて下さい」 「いいのか? アラシ」 「はい。ガチガチの真面目くんだけど、とりあえず害はないひとみたいなんで」 「まあ、金払いも悪くなさそうだしな。だけど、真面目そうに見えて危ないヤツもいるから、その辺りは充分気をつけろよ」 「わかりました」
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