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止めることはできなかった。去りゆく仲間の背中を見つめながら、彼女は寂しそうに笑った。
戦士として、旅をしながら、一緒に戦ってきた仲間。
だけど、これでお別れだ。仲間は、彼女を置いて、街へと戻るのだから。
自分たちのランクには少しレベルの高い依頼なのは、彼女には分かっていた。
だから辞めた方がいいと言ったのだけど、リーダーである青年は聞く耳を持たなかった。
依頼主の知名度から、この依頼を熟せば戦士として箔が付く。功名心が高い仲間たちは、その発言を無視したのだ。
彼女の言葉の意味を知りながら。
彼女は、美しい紫の瞳を潤ませながら、去りゆく仲間の姿をその目に焼き付ける。
苦楽を共にした仲間なのに、どうして、こんな結末になったのだろう。
もっと反対していれば、結果は違ったのだろうか。
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