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『アタシと共に行けば、実力は上がるけど、名声は得られない。
だけど、アタシを置いていけば、名声は得られるけど、実力は今のまま』
「アタシに分かるのはそれだけよ」
本当はもっと深く分かっていたのだけど。
運命の分岐点と、その先の未来を知る力はあったのだけど。
所詮は『占い』なのだから、その程度で充分だろう。
その先の未来は、雲泥の差だけれど。
リーダーはそれを聞いて、目先の利益を優先したのだ。
「そうか。じゃあ、ごめん。今までありがとな」
彼女の占いはよく当たる。
それを知っていた仲間たちは皆、リーダーについていった。
その背中を瞳を見つめながら、彼女は涙を流す。
こんな場所に一人で置いていかれることを考えれば、最終的にどうなるかなんて、目に見えている。
自分の未来を予言することはできないから。
それでも、死にたくはない。
「誰か、助けて!」
その声は、誰にも聞かれることなく、闇に消えた。
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