1人が本棚に入れています
本棚に追加
それから京太郎は3姉妹に真実を語る。
自分が謎の組織に改造された改造人間であること。
今日まで謎の組織KD団と戦い続けてきたこと。
それに対して三姉妹の答えは、
「知ってる」
「知ってる」
「知ってる」
そっけない。
「は?え?どういうことだよ」
混乱する京太郎にさらなる追い打ちをかける。
「どうもこうもないよ。あたし達がお兄ちゃんを改造したんだから」
「は?」
京太郎はリビングの空気が一気に冷え込むのを感じる。
三姉妹はただ京太郎をじっと見つめるだけだ。
「ふざけるなよ。お前達が俺を改造?なんのために?」
悪ふざけにしてもひどすぎる。
こちらは真剣に秘密を告白したのだ。からかうのはやめてもらわなければ。
「きょうちゃんって、ヒーローに憧れてたでしょ?
だからヒーローにしてあげるついでに脳を改造してあたししか愛せないようにしようと思ったのよ」
そんな京太郎の気持ちなぞどこ吹く風、長女が表情ひとつかえない。
「違うでしょ。あたしでしょ」
次女が長女に抗議する。
「違うよ。あたしだよぉ」
三女がさらに抗議する。三人がわいわいと京太郎は自分を愛させるんだなんだと揉めている。
京太郎は完全に蚊帳の外である。
自分の怒りの矛先を失いながらおずおずと抗議する。
「あの・・・えっと、あのさ、大体、そんな事する金がどこにあるんだよ?」
混乱する京太郎に長女が穏やかな口調で語り掛ける。
「きょうちゃん。あたしがすっごい金持ちなのしってるよね?」
「そりゃ、知ってるさ。でも、金持ちっていったってベンチャーを起業して企業買収を続けて、今ではIT、工業、インフラに至るまで手広くやってる現代の財閥って呼ばれてるだけだろ」
「いや。充分金持ちよ」
「日本有数だよ」
姉妹の説明にも京太郎は釈然としない。
「だって、学校の教師なんかしてるから金に困ってるのかと」
「だから、それはきょうちゃんがすきだからよ」
長女は正座している京太郎に顔を近づける。
甘い香りが京太郎の鼻をくすぐる。
「え?俺がスキアボーネ?」
「それはイタリアミラノ出身の女子プロテニス選手でしょ」
長女はあきれながら京太郎から顔を離す。
最初のコメントを投稿しよう!